振動工学研究室-TDU-研究内容
東京電機大学 理工学部 機械工学系(旧称:電子・機械工学系)
振動工学研究室
Vibration engineering laboratory

1.研究概要

研究室では,地震や台風などの自然現象から交通振動や常時微動までの幅広い振動領域における構造物の安全性確保と機能維持を目的とした次世代振動制御技術の在り方を研究しています.ここでは,横断的かつ多角的視点での振動技術の統合,安全の多様性・多重性を考慮した振動技術の構築とともに企業や他大学との共同研究,実際の振動制御装置の見学などを通して統合的防災教育の検討や広域な耐震分野における基礎的素養を有する人材育成などを実施しています.

2.研究テーマ紹介

災害時の避難経路に関わる機械構造物のフラジリティに関する研究

重畳事象に起因する災害時の避難経路に関わる機械構造物のフラジリティ(損傷確率)を検討し,適当な避難経路の選定に資する機械構造物の機能維持と避難計画との関連性を検討します.

原子力プラント用免震構造におけるクリフエッジ回避技術に関する研究

原子力プラントでは,積層型免震装置の適用において設計レベルを超える後面圧・大せん断領域での負剛性現象などのクリフエッジ対策が必要な課題が残されています.本研究では、積層型免震装置の強非線形現象および終局状態をモデル化し,原子力プラント免震構造の地震時構造健全性の高度化を検討します.

原子力配管システムにおけるシビアアクシデント対策に関する研究

原子力施設の配管に設計時の地震よりも大きい地震が発生して,想定外の事故が起こった時の対策を検討する研究です.地震による配管の被害を小さくする方法として、弾塑性ダンパーを使って配管を支持す,ことを考えました.この弾塑性ダンパーが地震によってどのように破損し,破損した状態でどの程度機能するのかを解析・評価します.

1t空気浮上TMDの性能に関する研究

半導体製造施設では,嫌振機器が多く一般には建築構造物に防振対策を施した剛接合になっています.しかしながら、強地震動の際には、建築構造物の床応答派が直接機器に伝達されるため被害が多発しています.本研究では、精密機器の防振と地震対策をあわせもつ装置・機構を検討します.

軽量機械構造物を対象とする地震時転倒防止機構に関する研究

屋内設置用の自動販売機等の軽量機械構造物は,通常床にアンカーボルト等で接合されていないため地震時に転倒被害が発生する場合があります.

エレベーター緩衝器性能の最適化に関する基礎的研究

エレベーターに設置されている緩衝器の性能について,評価および検討を行う研究です.緩衝器は最も多く採用されている油入緩衝器に焦点を絞り,緩衝器の作動状況をMATLABで解析します.油入緩衝器の設計は主に固有振動数と減衰比によって支配されているため,それぞれの値をパラメータとして,より安全性の高い条件について検討しています.

風力発電機の耐震/耐風性能の高度化に関する研究

我が国での風力発電機の現在の発電量は微小割合ではありますが,今後のベース電源や非常用電源の確保という観点では重要になります.本研究では,風力発電機を対象とする耐震/耐風性能の向上を目的とした制振手法を検討し,その有効性を実験的・解析的に評価します.