近接場光顕微鏡(SNOM)
 現在ナノテクノロジーの発展が医療、環境、エネルギーといった多様な分野で著しく進んでいます。ナノテクノロジーの一例としてMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術 が革新的な進化を遂げています。MEMS技術は、ジャイロセンサや加速度センサといった微小なセンサを用いて、自動車や光通信システムなどの多くの分野で活用されています。そしてMEMS技術による微小なセンサは、デバイスの精密な動きや位置を検出することで、ナノテクノロジー分野において重要な役割を果たしています。

 そのため本研究室では、先程例に出したMEMS技術やナノテクノロジーの発展を踏まえ、大気中での運用が可能で、試料への負担が少なく、高い分解能を持つ計測手段の開発を目的とし、近接場光顕微鏡(SNOM)の構築を行っています。

 近接場光学顕微鏡とは探針と呼ばれる針のように細い先端に上方向からレーザ光を照射します。このとき、探針の先端径は数十宇ナノメートルのため、探針先端で近接場光が発生します。近接場光とは、近接場光学顕微鏡と探針間を伝わらない光のことを言い、この光が探針先端と相互作用することにより発生する散乱光を検出して実現します。この時に探針が一定周波数で振動しているため探針-試料間距離が近づいたときに散乱光強度が最も高まります。この散乱光強度の変化をとらえることで試料表面を検査できます。